霊能力に関わる仕事 イタコ

イタコとは
イタコとはもともと青森県陸奥地方で活動していた霊能者。現在も、神の霊や死者の霊魂、生霊などを自身の身に降ろし、本心を語らせます。広い意味では霊能者ですが、イタコは霊と相談者の媒介になることから、「霊媒師」と呼ぶのが正しいと言えます。イタコと言えば、恐山(おそれざん)のイメージがありますが、実際には恐山に住んでいるわけではありません。
普段は青森県を中心とした各地で暮らし、恐山秋祭り(10月上旬の土、日、月)の期間だけ恐山にやってくるのです。その期間はイタコに口寄せをしてもらいたいと希望する人々が押し寄せ、行列を作るほど。それだけ、イタコの霊能力は信奉されているという証でしょう。熟練したイタコは「カミサマ」とも呼ばれます。青森県の「津軽イタコの習俗」や秋田県の「羽後のイタコの習俗」などは国指定選択無形文化財となっています。
イタコの霊能力
イタコの代表的な霊能力は、「口寄せ」と呼ばれる降霊です。呼び寄せたい相手の霊魂がイタコの身体に降りてきて語るわけですから、その相手の口調や口癖もそっくりになります。イタコに降霊された霊は嘘がつけず、すべてを話します。また、呼び寄せる霊が神仏の場合は、未来予知も可能です。また、ほとんどのイタコが修行を重ねるうちに霊感・霊視・霊聴などの霊能力も身につけます。昔は盲目、あるいは弱視の女性が生活の糧を得るためにイタコの道を選びました。目が見えないことで、より霊能力が研ぎ澄まされると考えられていたせいもあります。現在のイタコは視力が問題になることはありません。
イタコの修行・能力
イタコの修行は非常に厳しいことで知られていますが、修行の内容は明らかにされておらず、どのように霊能力を育てていくのかは謎めいています。修行が厳しいのは、正確な口寄せをするためが第一の目的ですが、イタコ自身のためでもあるのです。降霊中に悪霊まで寄ってきて憑依されないよう、身を守らなければなりません。また、神仏を降霊する機会も多いため、神道や仏教についても深い知識を持っておく必要があります。また、イタコの霊術には口寄せだけでなく、「自動書記」と呼ばれるものもあります。これは降霊した霊のメッセージを書き留めることで、降霊が終わった後、それを整理して相談者に説明するという能力も求められます。
イタコのもうひとつの役目
イタコには降霊以外にも、重要な役目があります。それは「オシラアソバセ」という行事。東北地方で信仰されている家の神は「おしら様」と呼ばれます。一般には農業の神、病気平癒の神とも言われ、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」では大根を擬人化して登場しました。おしら様のご神体は桑の木で作った二体の男女。その木に布を何重にも被せます。旧歴1月、3月、9月の16日がおしら様の祭日で、「命日」と呼びます。
普段はおしら様のご神体は祠(ほこら)の中にしまって神棚に納めておきますが、この日だけはおしら様を祠から出し、神餞(しんせん・神に食べていただくもの)を備え、オセンダクと呼ばれる新しい布を今までの布の上に着させます。この命日にはイタコがおしら様を手に取って祭文を唱えながら踊らせます。これが「オシラアセバセ」と呼ばれる行事。イタコがこの行事を行うことで、その家をおしら様が守ってくれると信じられているわけです。
現代のイタコ
イタコは後継者不足に悩んでおり、恐山秋祭りで口寄せを行う者、東北地方の家庭でオシラアソバセを行う者はほとんどが高齢者です。一方、現代のイタコは活動の場を東北地方から全国に広げています。そのために最適なのが電話占い。電話占いなら、全国各地の悩める人々を救うことができるからです。所属する霊能者がすべてイタコである電話占い会社もあり、気軽にイタコへ降霊を依頼できるようになりました。そして、全国の老若男女に「イタコの占いは当たる!」と評判を呼んでいます。